【共感覚】って何!?| 文字に色が見える 音に色を感じる 共感覚とは
文字を見たときに色がついているように感じたり、音楽を聴いたときに色や光の動きも感じたりするなど、受けた刺激とは異なる他の知覚が引き起こされることを「共感覚」というようです。
共感覚についてまとめてみました。
共感覚とは…
- 文字や数字に色がついて見える(感じる)
- 音楽に色や光の動きが見える(感じる)
- 曜日や月に色や並びが見える(感じる)
- 音を聞いたときに味を感じる など…
引き金となる刺激とは異なる知覚が誘発されることを「共感覚」(synesthesia)というようです。
共感覚を持つ人は数パーセント
共感覚を持っている人は、人口の数パーセントほどだそうです。
割合は少ないですが、病気や異常、超能力などではありませんよ。
遺伝的だが後天的に結びつく
共感覚は遺伝的な要素がありますが、共感覚の結びつきができるのは後天的と言われています。
共感覚を持つ人がいる家系に生まれた人が、幼少のころ持っていたマグネットの「A」が「赤」だったから、その人のなかで「A」と「赤」が結びついて、その後ずっと、「A」に「赤」を感じるようになった。というイメージです。
自動的に起こる
共感覚は想像とは違って、自動的に起こることをいうのだそうです。
たとえば、「あ」を見たときに、自動的に「赤」を感じるようなことを共感覚というようです。
いっぽうで、「うーん…なんとなく赤いイメージかな!?」と意識的に考えるのは、想像やイメージであって、共感覚とは違うのですね。
認識してから起こる
共感覚は対象に注意を向けて認識してから起こるということです。
たとえば、「2」と「5」に別々の共感覚の色を感じる人でも、一面に広がった「5」の中にまぎれた「2」を、瞬時に見つけることはできないと言われています。
つまり、数字に注意を向けて「2」だと認識してはじめて、共感覚の色を感じるのですね。
感じ方は単純で具体的
共感覚の感じ方は単純なようです。
音楽を聴いて、絵画のように複雑なイメージを思い描くことではなく、光や色の単純な動きが、音に合わせて現れては消えるような感じなのです。
また、共感覚の感じ方は具体的であると言われています。
たとえば、感じる共感覚の色を挙げると、「暗く濁った緑」「水のように薄い緑」などという具合です。
感情をともなう場合もある
共感覚を感じる際に、感情をともなう場合もあると言われています。
説明が難しいのですが、文字の並びや人名の「色」に美しさを感じたり、逆に不快感を覚えたりする場合もある、というようなことです。
よくある組み合わせがある
- 文字や数字に色が見える(感じる)
- 音楽に色が見える(感じる)
- 時間や曜日・月などに色や並び(空間的な配置)が見える(感じる)
これらは、よくある組み合わせのようです。
しかし、その逆方向で、色を見て文字や数字、音楽を感じるという組み合わせは、とても少ないようです。
よくある共感覚については、のちほど切り出して書いていきます。
感じ方は基本的にいつも同じ
共感覚の感じ方は、子どものころに一度結びつきができると、長年にわたって基本的に同じだそうです。
なかには、大人になって共感覚の感じ方が変わる人や、新しい意味を知って色が変わる人もいるようですが、ころころ頻繁に変わるようでは共感覚とは言えないようです。
文字に色を感じる場合、単語によって感じる文字の色が変わることなどはありますが、その変わり方が基本的にずっと同じということなのですね。
個人差があるが傾向もある
同じ種類の共感覚を持っている人でも、感じ方は様々なようです。
たとえば、数字に色を感じる人が「1」を見た場合、ある人は「赤」、ある人は「青」に感じるかもしれません。
また、色を「頭のなかで感じる」タイプの人もいれば、「見える」タイプの人もいるとのことです。
このように、共感覚といっても個人差が大きいいっぽうで、ここ十数年で進んできた研究によると、様々な感じ方にも傾向があることがわかってきているそうです。
「A」を「赤」に感じる人が多かったり、なじみのある文字には鮮やかな色を感じたりする傾向などもあるようですよ。
共感覚に気づいた時の反応
自分が共感覚を持っていることに気づかずに、多くの人は大人になるようです。子どものころから当たり前のようにある感じ方を、わざわざ他の人に伝える機会がないというのもあります。
ですので、たとえば文字に色を感じることが少数派であると知ると、多くの人が「え!みんなは文字に色を感じないの!?子どものころからこの感じ方だから、みんなも同じだと思っていた!」などと驚くようです。
いっぽう、子どものころに「ドの音は赤」ということを言ったときに、まわりから「おかしい」などと言われて、それ以降、口に出さなくなってしまった人もいるようです。
どんな共感覚があるの!?
いくつかご紹介します。
文字や数字に色が見える/感じる
文字や数字を見たり、人によっては頭のなかで思い浮かべたりすると、色がついているように感じる共感覚です。
色字共感覚といって、割合は人口の1~2パーセントくらいだと言われています。
大きく分けると、印字された文字またはそのあたりに色が「見える」タイプと、頭のなかで色を「感じる」タイプがあるようです。どちらも印字された色は認識できているのです。
色字共感覚のなかでは、数字に色を感じる人が多いと言われています。
音楽に色や光が見える/感じる
音楽を聴いたり、人によっては身近にある音を耳にしたりすると、色や光の動きを感じる共感覚です。
色聴といって、こちらも数パーセントの割合だと言われています。
音に感じる色や光の動きは、単純な幾何学模様が音に合わせて浮かんでは消えるようなもので、複雑な絵画を想像するものとは異なるのです。
なかには、ドレミファソラシド一音一音に、別々の色を感じる人もいるようです。
数列、時間、曜日、月に色や並び(空間的な配置)が見える/感じる
数字、時間、曜日、月などに色を感じたり、その並びに空間的な配置を感じる共感覚です。
並び方は曲がりくねっていたり、平面ではなく立体的に感じる人もいるようです。
また、1月2月など、ひとつひとつの大きさがそれぞれ違って、均等でないように感じる人もいるとのことです。
その他の共感覚
- 匂いや味に色を感じる
- 音や言葉に味を感じる
- 痛みや触感に色を感じる
- 文字や数字にパーソナリティや性別を感じる
- 音符やパーソナリティに色を感じる
…などなど、書き切れないほどの多種多様な共感覚があると言われています。
最後に
共感覚がどのようなものかイメージいただけましたでしょうか?
共感覚は研究が進んできている分野ですが、まだわかっていないことも多く、個人によって感じ方も様々なようです。
こちらではすべてのパターンを網羅することはできませんが、共感覚がどのようなものか知るきっかけにしていただければ幸いです。
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